良いチェコ日辞典や日チェコ辞典は、いつになったら現れるのか

http://www.lingea.cz/japonsky-velky-knizni-slovnik.html

日チェコ=チェコ日辞典がチェコの出版社から出されたとのことなのだが、はっきり言って買おうとは思わない。編者名を明記していないというだけで、信用ができない。また、見本をざっと見てみたところ、日本語のコロケーションが不自然であったり、実例を文単位であまり見せてくれていなかったり、語彙のチョイスに疑問を覚える内容であったり、またチェコ日の見本を見た感じだと動詞の不定形を示す際にもう一つの体(「たい」と読まれたし。言語学などの用語である「アスペクト」に相当する、スラヴ諸語に広く見られる概念)をきちんと明示していなかったりと、正直使いものにはならない。この辞書は、もちろん日本語を学んでいるチェコ語話者のために編まれたのだろうから、そうした情報は無駄だと判断されたのかもしれない。だが、この辞典は、日本語のネイティヴ・スピーカーは言うまでもなく、日本語の知識を媒介としてチェコ語を使う読者もまた買うことになろう(現在入手可能な日本語とチェコ語の対訳辞書は、残念ながら貧弱なものでしかないからだ)。そうすると、動詞の体のペアがきちんと明示されていないというだけで、利用価値が著しく落ちてしまう。動詞の体のペアがきちんと書かれているだけでチェコ語のノン・ネイティヴ・スピーカーがどれだけ助かるか、辞書を作る人にはしっかりと認識していただきたい。要するに、この出版社はニッチなニーズをきちんと読めなかったのか、あるいはあったところで完全に無視してしまったのだ。実にもったいない。もう少し頑張れば、この出版社は長期的にはより大きな利益が得られただろうに。

とまあ、せっかくの企画だったのに、残念極まりない。というわけで、対訳辞書を使う際には、まだまだイヴァン・ポルダウフ Ivan Poldauf の名著『チェコ英大辞典 Velký česko-anglický slovník』(この辞書は齋藤秀三郎の『熟語本位英和中辞典』に匹敵する名著だ。やや硬い目ながらも、訳語のチョイスが素晴らし過ぎる!)や科学アカデミーが出した4巻本(もしくは2巻本)の英チェコ辞典、それから2巻本のチェコ露辞典や6巻本の露チェコ辞典などに頼るしかなさそうだ。

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